2026年 02月 26日
「未来を語る授業」 |
「未来を語る授業」
今までのブログで現在の「未来の授業」として「セルロースナノファイバー」「ペロブスカイト太陽電池」「コンクリートの再生」「蚕の繭から作るフィブロイン」などを書いてきたが、私自身のしてきた「未来を語る授業」について書いておこうと思う。
2001年度に私は6年生を受け持った。そのときに、話した主な内容は、未来の学校の勉強についてだった。
「みんなは、今、ランドセルに各教科の教科書とノートを入れて学校に来ているが、それがなくなるかもしれない」と言うと、子どもたちは「勉強できなくなるんではない?」「教科書を全部学校に置いておくの?」という反応だった。
「一枚の画用紙のようなものにひらがなやアルファベットのようないろんなボタンがついていて、例えば、「さんすう」と打てば算数の教科書が画面に出てくるんだ。ノートも出てくる。字を書くときは鉛筆ではなく、専用のペンで字が書ける。そうすると、重たいランドセルを担いで持ってこなくてすむだろう」
「そんなことできるかな?」
子どもたちは信用しなかった。
(私はタブレットが普及した今でも鉛筆で紙のノートに字や絵を書くことは大切なことだと思っている。絵もコンピュターでアニメーションができる時代だが、鉛筆や絵具で絵を描くことはとても大切なことだと思っている。両方大切であると思っている)
「世の中はだんだん変わっていくんだよ。例えば、写真を考えてごらん。昔はフィルムをカメラに入れて、現像して、印画紙に焼いていただろう?それが、デジタルカメラが出てきた。性能はまだまだだけれど、確実に変わっていくよ。この写真を見てごらん。これはこの間日本橋の電気屋さんで置いていたものだ。きれいに撮れているだろう?」
「先生、そうすると、フイルム会社なんかはどうなるんかな?」
「いい質問やね。会社が倒産するか、今までの技術を応用して新たな会社を作るか。少なくとも、これからは、町の写真屋さんはつぶれることになるので、やらないことだ。写真を印画紙に印刷するのは自分の家のプリンターでできる時代だ。もうすでに君たちは作文をパソコンで打って、親機に入れてある写真からカラーで作文の中に貼りつけているだろう。そういう未来を予測して、みんなは、どんな仕事をしていくかを考えていく必要があると先生は思う」
「先生は、みんなが重たいランドセルを担いで学校に来ているのには反対なんだ。だから、未来の画用紙一枚を持ち歩くように早くなってほしい。前から言っているように、『置き勉』をしなさいと言っている。反対の先生は多いけど、先生は、必要な教科書とノートだけ持って帰りなさい。辞書のような重たいものを持ち歩くのも反対だ。だから、教室には、みんなが班で使えるだけのいろんな辞書は本箱に置いてある。未来では、その紙の中に辞書も入っているんだ」
それから何か月かした、7月11日(水)だったか朝日新聞に写真のような未来の「技術予測調査から」という記事が掲載された。私はさっそく、この記事を切り抜いて、学校ですぐに印刷して子どもたちに配った。
こういう勉強のときは、このプリントをすぐに、井出学級特別の『総合学習ノート』にすぐに貼りつけておく。(このときの私の失敗は切り抜き記事に日付を書かなかったことだ。のちのちの授業で何年前の予測はどれくらい当たっているのか検証できなかった。それでもこの記事は、未来予測としての授業に役に立った。現在2026年に教員をしている人たちはこの記事を利用して授業ができると私は思う。
小学生や中学生が未来に目を向ける機会を学校の授業の中でやることは、とても大切なことであると私は思う。
この新聞記事は、文部科学省の科学技術政策研究所(当時)が2001年(平成13年)7月に発表した「第7回技術予測調査」の結果を報じたものだった。
具体的な掲載日は、調査結果が発表された翌日の2001年(平成13年)7月11日(水)の朝日新聞(朝刊)だと思われる。
さて、どれくらい予測が当たっていたのだろうか?2026年2月現在として検証してみる。
「07年 世界中で通話可能な携帯端末」 → 3G/4Gの普及やスマートフォンの登場(iPhoneは2007年発表)により、概ね実現をした。今やスマートフォンなしの生活は考えられない。スマホと呼んでいるのもおもしろい。
「14年 燃料電池による電気自動車が普及する」 → トヨタ「MIRAI」が2014年に発売されており、時期がピタリと一致している。
「18年 掃除や洗濯をするロボットが家庭に1台」 → ルンバなどの普及で、ある程度現実のものとなっている。ルンバは掃除機ロボットの代表的な名前だが、中国に追い越され、今では、中国の会社の傘下に入っている。
「洗濯物をたたむロボット」は技術的に難しく、まだ家庭には入ってきていない。
ただ、ロボット技術は確実に進化している。共働きの場合、夕食の下準備ができるロボットができれば便利だろう。あるいは、買い物もしてくれるのならばなんて考える。その操作はスマホで指示すればいいわけだ。
最新の冷蔵庫では内部にカメラがついていて、ドアを閉めると自動で撮影されるのが日立やサムスンで売られているらしい。
1984年頃から坂村健氏が提唱したトロンとその応用技術であるRFID(ICタグ)というのがあったのを思い出す。そのタグを貼れば冷蔵庫に何が入っているかわかるのだが、コスト面他での問題はあった。
ただ、ロボットに関しては、戦争に使われている。手塚治虫の漫画が現実化している。今のウクライナにとっては、兵士が足りない。そこで、ITでさまざまなものを開発している。それが、ロシア軍の侵入を抑えている一つの力だ。負傷した兵士を無人の車が運んだり、見回りをしたりしている。もちろん、相手側の兵士を見つければ発砲もする。ロシアだって必死で開発しているだろう。
イランが攻撃するときには、安いドローンを飛ばすが、それを打ち落とすアメリカの迎撃ロケットは高価なものだ。迎撃用ドローンの開発も進んでいくだろう。アメリカ兵が地上軍としてイランに入れば、アフガニスタンやイラクのように何十年もの泥沼化状態になり、アメリカ兵の死傷者は確実に増えるのでアメリカはそのようなことはしないだろうと言われている。
ホルムズ海峡が事実上の封鎖になり、石油タンカーは動けないでいるのがタンカーの居場所地図を見ればわかる。私たちの生活にも響いてくる。
小学校が爆破されて百数十人の子どもたちが亡くなったという。どこの国の子どもたちであれ、悲しすぎる事態である。こういう未来を語るのも必要かもしれない。日本でそういうことが起きないためにはどうすればいいのか。
「27年 一般人を乗せる宇宙観光船」 → 2020年代に入り、民間宇宙旅行が現実化しつつあるが、まだまだ一般人の旅行までにはいっていない。
「教科書やノートがなくなり、画用紙一枚のようなもの(タブレット)に写し出される」という未来は、今(2026年現在)、日本の教育現場でタブレットとして現実のものとなったが、私が想像したものにはなっていない。重いし、教科書を全部タブレットに入れるのを文部省は許可していない。
文部科学省の「GIGAスクール構想」により、児童生徒に1人1台のタブレット端末が配布され、デジタル教科書の導入も少しは進んだ。「ランドセルがいらなくなる」という点は、逆に端末が重くて問題になっているが教材がクラウド化する流れとしては予測通りである。
たとえ、タブレットが発展しても、私は、小学一年生が鉛筆を握る力と感覚を養うことは必要だと思う。私たち高槻市の教員たちが作り出した『ひらがな』という練習帳はこれからも大切に使って云ってほしいと私は思う。
2014年:自宅で働く人の割合が30%を超える
【実現】 コロナ禍(2020年)を経て、テレワークは定着した。新形コロナが下火になるとまたもとの通勤に変わった企業も多い。しかし、2026年の今、毎日、会社に行かなくても仕事ができる企業も増えた。
2015年:カード大の音声通訳装置が実用化
【実現】 専用機(ポケトークなど)だけでなく、スマホの翻訳アプリで誰もが無料で使えるようになった。精度も上がった。
2027年:考えて行動する知能ロボット(AI)
【ほぼ実現したもの】 2022年頃からの生成AI(ChatGTPやGeminiなど)の爆発的進化により、「考えるように対話できるAI」は予定より少し早く、私たちの日常に入り込んでいる。
ただ、有料、無料での性能の差は大きいし、使い方次第で、間違ったことを平気で答えてくることも多い。
形を変えて実現したもの
2014年:燃料電池による電気自動車が普及する
【半分正解】 「電気自動車(EV)」は普及したが、予測にあった「燃料電池(水素)」ではなく、「バッテリー(蓄電池)」式が主流になった。
ただ、アメリカのような砂漠のように広い土地で、電気のスタンドができるかどうか?充電できるかどうか?今のところは、その土地に応じた自動車が使われるのではないだろうか。
2020年:がん全体の5年生存率が70%を超える
部位によるが、医療技術の進歩で生存率は確実に上がっている。完全に70%を超えたかというと、まだ戦いのさなかというところだ。
私は、41歳で尿路腫瘍になって、7時間に及ぶ手術で生還した。命が助かったのはまさに偶然という幸運によるものだった。
腎結石の一部の石が尿路にできた腫瘍に引っかかって、その石をレーザーで粉々にする手術(TUL経尿道的尿路結石砕石術)のとき、「腫瘍あり、採取」という医師の声を今でも覚えている。
石が落ちてこなかったら見つからなかった。林光が言った。「ぼくの父もその尿路腫瘍で亡くなった。まさに幸運だ」と。
2015年:自宅投票の電子選挙へ全面切り替え
【未実現】 技術的には可能。セキュリティや信頼性の問題で、日本では2026年現在も「紙に鉛筆で書く投票」が続いている。
2017年:時速500kmのリニアモーターカー実用化
【遅延】 技術は完成しているが、工事の遅れ(静岡県の水問題など)により、開業は大幅に遅れている。
2022年:常温の超伝導体が開発される
【未実現】 これができればノーベル賞級の革命だが、まだ実験室レベルでも確実なものはできていない。
1. 「超電導」とは?
電気を通す物質(金属など)を、マイナス200度くらいの極低温に冷やすと、電気抵抗が突然「ゼロ」になる現象のこと。
- 電気抵抗がゼロ: 一度流した電気が、永遠に消えずに流れ続ける。
- マイスナー効果: 磁石の上に浮く(リニアモーターカーの原理です)。
しかし、これには「液体窒素」や「液体ヘリウム」を使って、とてつもなく冷やさなければならないという大きな弱点がある。これではコストがかかりすぎて、日常では使えない。
2. 「常温」になると何がすごいのか?
もし、特別な冷却装置なしで、私たちの暮らす室温(20℃前後)でこの現象が起きる物質が見つかれば、それが「常温超電導体」。
これが実現すると、以下のような革命が起きる。
- 送電ロスがゼロに:
現在、発電所から家庭に電気が届くまでに、電線が熱を持つことで多くの電力が失われているが、これがゼロになれば、世界中のエネルギー問題が一気に解決に向かいう。
- リニアモーターカーが安価に:
現在のリニアは、超電導磁石を冷やすために大量の電力と装置を積んで走っている。常温でできれば、もっと安く、どこにでも建設できるようになる。
- パソコンやスマホが熱くならない:
電気抵抗がないので熱が出ない。今のスーパーコンピューター以上の性能を持つパソコンが、家庭で使えるようになる。
これは当分の間、無理だと考えられる。
2024年:M7以上の地震が数日前に予測可能に
【未実現】 これが一番難しい技術。緊急地震速報(数秒?数十秒前)は実用化したが、「数日前」の予知は現代科学でも不可能。
2001年度の授業でも「地震だけは予知できない。だから、『地震、雷、火事、親父』という昔のことわざがある」と言った記憶がある。外国人の科学者でよくそのころテレビに出ていて、「地震だけは予知できません」と言っていたのを今でも思い出す。
2025年:有人宇宙船が火星に着陸
【未実現】 現在は「まずは月にもう一度(アルテミス計画)」という段階。火星は2030年代以降の目標になる。
by ir_ihatov
| 2026-02-26 18:58
| 教室・保育室・講義室から
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